2011年12月20日火曜日
エディプスの恋人 著:筒井康孝
家族八景、七瀬ふたたびに続くシリーズ第三弾。
ふたたびはラストで壮絶な展開で終わったのが嘘のように今作では、七瀬が教職に付いており、校内で特異な事件が起きるところからはじまる。
とある生徒に野球部が放ったボールがぶつかりそうになるのだが、ぶつかる直前でボールがずたずたに破壊されたのである。
それを聞いた七瀬はこの生徒が自分と同じ超能力者である可能性が高いと調査を始めるのだが・・・。
ふたたびの続編ということで、あのラストのあとどう繋げるのかと思ったらいきなり日常ではじまってびっくり。
時系列的にふたたびの前なのか?と思って読み進めると物語が佳境に進むにつれてその理由が判明してまたびっくり。
このラストは少々反則気味な気もしますが、七瀬の能力であるテレパスを使って事件を調査する過程はこのシリーズでは
おなじみの、醜い人間の本性が垣間見つつも冷静に対処していく様は痛快で読んでいて心地いい。
前作で七瀬は超能力者を駆逐する集団と対峙したときに、超能力者がなぜ生まれたのかと悩んでいましたが
その回答が今作のラストなのでしょうか・・・。
メタな話に捉えると小説での絶対神というのは、著者であると思う。
なので、本作で登場するあの存在は著者を投影した存在と考えることもでき、七瀬の代わりに破瓜を味わうというかなりイっちゃった願望は
物語の中でも母と息子という禁断の愛と書かれているように、著者が小説内に入って登場人物の代わりに体験するという禁断の願望を実行したのかもしれない。
もちろん、あの存在が息子を愛していたからこその行動であり、著者も七瀬をそれだけ愛しているという裏返しなんだろうと思う。
七瀬ふたたびで家族八景との変わりように驚いたように本作で前作の繋がりのなさに驚いたが、三作とも少々繋がりのある別作品と思って読むのがいいのかも。
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