2011年10月10日月曜日

鏡の国のアリス 著:広瀬正

第4回星雲賞長編賞受賞作品。
物語はある美容外科に女性になりたいと訪れた男の話からはじまる。
何故女性になりたいのか?医者がわけを聞くと・・・。
その男はある日銭湯で汗を流していたら、突然女湯にいることに気づいたという。
確かに男湯に入っていたはずなのに・・・と思いながら慌てて外にでると、そこは逆さ文字であふれかえった鏡の世界だった!!

ルイス・キャロルの同名小説があるが、作品内で引用されていたり、鏡の世界や落ちの夢などオマージュがたくさん。
鏡の世界では文字はもちろん時計や車の進行方向も逆になっていたりしている。
その鏡の世界を反物質などを用いて物理学の観点から考察してみたりしているが・・・やや唐突でいきなり話が難しくなって、鏡像のイラストが差し込まれて入るが文章ではなかなかイメージがわきずらく、そのわりに物語にあまり関係してこないというのが残念。
また、鏡の世界では現実世界の右利きが希少な存在で(鏡に映った左手が右手で鏡の世界では左手というややこしい設定)、著者が左利きであるがゆえの苦労話も語られる。
そして物語の結末は意外な方向に・・・何故性転換しようとしたか?を想像するミステリーとして読んでもおもしろい。

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