2012年1月2日月曜日

「準」ひきこ森 著:樋口康彦


本書は部屋からでない引きこもりと通常の生活を送る人の間にあるような、学校と家の往復はするがコミュニケーションはまったくとらず、自分の世界に篭っているようなタイプを著者は準ひきこもりと定義して、その実態を実際の例をあげて検証している。
準ひきこもりに対して痛烈な批判・・・というより、罵詈雑言のようなまるでひきこもりの人格を無視しているような言葉が続く。
それは、著者が元準ひきこもりであり、ひきこもりの人間はこれくらい言わないと自覚しないだろうということだ。
まぁ、わからなくないがはっきりいって自作の詩を載せている著者が一番気持ち悪いのだが・・・。
準ひきこもりの定義はいいが、そこからどう立ち直るかなどの建設的なことがまったくといって良いほど書かれていないので、現在準ひきこもりとして悩んでいる人は読んでも気分が悪くなるだけなので読まないほうが良い。
著者は自身の就職失敗の経験から、準ひきこもりは就職できないと一刀両断しているが、社内ニートという言葉があるように、会社と家を往復するだけのような人間はたくさん居る。
会社を選ばなければいくらでも就職口はあるのだし、そういう意味では著者の視野は狭いし、持論を正当化するデータしか見ていないように思う。
ただ、一般化せず自分の意見として書いているところは最低限の良心があるのだなと感じた。

ちなみに自分は元ひきこもり、現準ひきこもりのだが5年以上会社員をしていて、それが本書を手に取ったきっかけである。
本書を読んで何かに役立てればと思ったがまったくの無駄であった、準ひきこもりとして悩んでいる方はちゃんとしたセラピー本を読んだほうがいいだろう。

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