2010年5月16日日曜日

はやぶさ 不死身の探査機と宇宙研の物語(著:吉田武) - 幻冬舎

祝日が無い6月は連休のある5月の次の月ということと梅雨の時期と相まって、なにも楽しみが無く鬱々とした月ではあるが、2010年の6月は忘れられない月になりそうだ。
そう、6月の13日に小惑星探査機「はやぶさ」が7年以上にわたる苦難のミッションの最後の試練に挑むべく地球に帰ってくるのだ。

本書は2006年に書かれているので、はやぶさが小惑星イトカワへ着陸し帰還を開始するまでとなっている。
それに加えはやぶさのミッションだけでなく日本の宇宙開発の歴史も、小惑星イトカワの名前の元となった糸川英夫を中心に綴られている。
日本の宇宙開発がどれだけ低予算で行われているかや、人との繋がりを大切にした開発の成果は日本の技術力の高さを素人でもわかりやすく確認できる内容となっている。
しかし、この技術力の高さや偉業の意味をちゃんと理解している日本人は少ない。
不況が続く昨今、国家予算を抑えるべく行われている仕分けショーで話題になった

「2番じゃだめなんですか?」

という発言があった。
これはスーパーコンピューター事業の仕分けの際の発言だったと思う。
しかし、本書の中でも指摘されているように科学や工学というのは1番じゃなければ意味がない。
そのことは科学者や工学者に取っては常識なのかもしれない、しかし一般人には上記の発言のような認識なのだ。
本書のような日本の科学の偉業を丁寧に解説する本がたくさんの人に読まれることで、このような誤解がいつの日かなくなればと思う。

さて、最初に触れた祝日の無い6月、13日は”はやぶさの日”としてはやぶさの労をねぎらう国民の休日にしてはどうかと思うがいかがかな?

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